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映画『コンカッション』の感想/無名の解剖医VS闇の組織NFL(アメフト)

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2015年の映画『コンカッション』を観ました。
 
引退したアメフト選手の死因について知り過ぎたため、無名の解剖医が闇の勢力から圧力をかけられるっていう話なんですが、主演のウィル・スミスが超絶クールでした。
 

 

映画『コンカッション』の感想

 

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コンカッション [DVD]

 

あらすじ(ネタバレ)

 
オマル博士(ウィル・スミス)は優秀な解剖医である。
博士は小さな町の公務員として真面目に働いていた。
 
ある日、地元のアメフト選手(引退済み)が変死したことを受け死因を調べることになったのだが、どうも妙である。
なぜなら「死ぬような原因」がどこにも見当たらないからだ。
 
オマル博士はバカ真面目なので私財を投じて死体を徹底的に調べ上げた。
そしてついに博士は真実を知ってしまう。
それはアメフト特有の「慢性外傷性脳症」であった。
 
普通の医者ならば「アルツハイマー」と診断するところである。
事実、多くの医者がそういった元選手の不調をそう説明してきたのだ。
 
「アメフトでまさか人が死ぬなんて。NFLに教えてあげなきゃ」
 
博士は共同研究者と共に「慢性外傷性脳症」に関する医学論文を発表する。
一方のNFL(アメフトの団体)は、博士に感謝するどころか博士をヤブ医者呼ばわりして、論文を一蹴した。
 
そして何より世間の反応が極めて悪い。

「ブードゥー教のまじない師が変なこと言ってんじゃねえぞ! てめえを解剖するぞ! コノヤロー!」
 
しかし、事実は事実なのだから曲げられない。

NFLは「アメフト」と「そのなんだかよく分からない症状(慢性外傷性脳症)」との関係は一切ないと主張し続けるが、引退したアメフト選手が次々と慢性外傷性脳症で惨めな死を遂げる。
 
オマル博士はこの間に色々嫌がらせを受け、ド田舎に引っ越しを余儀なくされ、ひっそりと仕事を続けていた。
 
しかし、さすがのNFLも事実を認めざるを得ない状況に追い込まれ、オマル博士の当初からの主張は徐々に世間に認められていくことになる。
 
博士は名誉を回復し、博士に協力した人々に対する嫌がらせも終わった。
オマル博士は勝ったのだった。
 

感想

 
絶対に認めたくないNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)のお粗末な第三者委員会に笑っちゃいましたね。
 
リウマチの専門医「ん~。問題なし!」
 
えぇ……(困惑)
 
リウマチの専門医に、脳神経の何が分かるねん! と。
これに象徴されるように映画では理不尽なことがたくさん起きます。
 
まあ、ド派手なアクションが無い分、地味な理不尽さでリアリティがあったと思います。
 

印象的なシーン:脳みそを輪切りにするシーン

 
主人公は解剖医なので、「脳」の標本をつくるシーンがあります。
ここで「脳」を輪切りにしていく過程が描写されるのですが、すごく怖かったです。
 
べつにグロくはありません。

ただ、妙に淡々としていて不気味でした。
 
脳みそを輪切りにしていく過程は、まるで食品スーパーのバックヤードで食肉を加工していくかのような、無機質さ。
 
「科学は偉大」です。

もちろん僕も恩恵を受けているわけです。
 
ただ「科学って怖い」とも思いました。
 

巨大企業・アメフトチームの闇

 
正直、僕自身はアメフトに全然興味ないです。
ボクシングとかも興味ないです。虚弱体質でスポーツ音痴だからです笑
 
ただ、アメフトに対する「熱狂」を想像することは出来ます。
他人の気持ちを分かろうとする努力は出来ます。
 
たとえば、連続幼女殺人事件とか起きて犯人が捕まって、そいつの自宅から「リリカルなのはのDVD全巻セット」が押収されて、テレビのワイドショーで「やっぱりアニメは人を堕落させる」と批判したとしましょう。
 
となると、僕は怒ると思います。
「なのはさんとそいつの凶行は関係ねえよ!」と。
 
これと同じなんじゃないかなあ。
だから、オマル博士に対して当初浴びせられた「ヤブ医者!」との批判、アメフト民の心境、分からんでもないです。
 
たとえ博士にその気は無くても、アメフト民としては「好きなもの」・「楽しんでいるもの」に冷や水を浴びせられた気分ですもんね。
 
しかもアメフトチームは巨大企業。
多くの雇用を生み出しています。
 
また選手もアメフトをすることでお金をもらい、家族を養っています。
さらにアメフトチームは巨額の寄付をすることで、さびれた町の財政も支えています。
 
そんな「アメフト」を批判したオマル博士の敵、NFLは実に強大な相手でした。
好意的な世論を背景に、NFLも調子に乗っている。
 
博士の味方をする人はごく少数。
アメフト関係者はみんな口をつぐむ。
 
なかなか見ていてツラい展開でした。
 
しかもFBI(政府)まで動いて、博士に圧力をかけてくる。
もう勝ち目無いよこれ......。そう思いました。
 

輝かしいアメリカ/クソみたいなアメリカ

 
正義感の強いオマル博士ですが、さすがに心が折れそうになります。
何と言っても博士は「希望の国アメリカ」を信じてやってきた人です。
 
しかし、現実はそうじゃない。
 
みんな分かっているはずなのに、黙っている。
みな真実を必死に隠そうとしている。
 
博士は絶望します。
それでも博士が真実を必死に訴え続け、腐らずやり続けたこと。
そして奥さんの支え、頼れる仲間があったからこそ成し遂げることが出来たのだと思います。
 

「コンカッション」の意味

 
「Concussion」=「脳震盪」です。

アメフトを通じて、何度も何度も脳に衝撃が加わることで神経レベルで脳が壊れます。
これが慢性外傷性脳症を引き起こし、アルツハイマーっぽい記憶障害や幻聴、うつ病など様々な不調を招き、死に至らしめるという結論でした。
 

まとめ

 
この映画は「真実」を知ってしまったばっかりに、いろいろ苦難に遭う話です。
そして知ってしまったからには主張し続ける。
 
自分も強くありたいものですが……。
口で言うのは簡単なんだけど、実行するのがなかなか難しいんだよなあ。
 

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