もえろぐ

仮想通貨からアウトドア、家電まで! 男のエンタメブログ!

映画『乱(黒澤明監督)』の感想/椿の方さん、宿敵「一文字家」の滅亡に成功

スポンサーリンク

黒澤明監督の映画『乱』を観たのでその感想を述べます。

 

『乱』を見るのは今回で2回目です。超長い映画なので、気を抜くと飽きますが最後はやっぱり壮絶で面白い。おすすめです。

 

まあ、最後の最後はちょっと説教臭い感じもしますけどね~。でも好きです。

 

 

 

映画『乱』の感想とネタバレ

 

 

2時間超の内容をサラッと解説(ネタバレ含みます)

 

この映画って160分あるんですよ。つまり2時間40分。

 

もう3時間の映画と言っても過言ではないですよね。めちゃくちゃ長いんです。

 

ただ、意外とお話の中心は簡単で、要するにこの映画は「代替わりの失敗」を描いています。そして、それを通じて仏教的な話とか、哲学とか、いろいろ描いているんです。

 

でも一番分かりやすいのは「代替わり」。表面上の出来事なので分かりやすいです。ここに注目してみていれば、ちゃんと楽しめます。

 

この映画の舞台は戦国時代の、とある国の話なんですけど、偉大な武将(秀虎)が治めているんですよ。まあ、秀虎が王様だと考えてください。ちなみに苗字は「一文字(いちもんじ)」。一文字さんファミリーの同族経営の会社の話だと思ってくれても良いです。

 

その秀虎が引退を決意するんですね。もう歳だし、これからは若い者が時代を作っていくべきだとか何とか言って。そのいきさつは色々あるんですけど。

 

まあ、これだけなら結構カッコいいですよね。病気とか怪我とか暗殺とか脅しとかじゃなくて、自分で自分の定年を考えたってことなんですから。

 

ところがこれが全ての元凶なんですねえ。ここから国がめちゃくちゃになっていきます。

 

秀虎には3人の息子がいます。それぞれ太郎、次郎、三郎って言います。分かりやすくて良いですね。

 

  • 太郎は、凡将
  • 次郎は、謀略の名人
  • 三郎は、正直(口は悪いけど)


太郎と次郎は秀虎の引退に「やむなし」って感じなんですけど、三郎だけは反対。断固反対。

 

親が子を殺し、子が親を殺すこの戦乱の時代にそんなお花畑なこと言ってんじゃねーよ。ボケたのかジジイ! って勢いで反対します。

 

最初は秀虎もなだめようとしていたんですけど、しまいにはブチ切れて勘当。国の外に追い出すことになります。

 

そんなひと波乱が初っ端からありつつも、とにかく代替わりが実行されます。太郎に家督が譲られるんですね。まあ長男ですからね。順当です。

 

ところが、問題は「まだ秀虎が生きている」ってことなんですよ。一応、取り決めとしては秀虎を名目的な代表、太郎が実質的な代表って感じで代替わりするんですけど、どこまでが名目で、どこまでが実質かなんて正直ハッキリしないんですよね。ここで揉めてしまう。

 

臣下同士のもめ事から、殺傷事件に発展。事態が悪化します。

 

親子喧嘩ですよ。それもガチの。険悪な雰囲気になる。

 

そんないきさつがあって、秀虎は太郎を見限って次郎のところへ移動します。一の城を出て、二の城に行きます。

 

ところが、次郎は次郎で面倒なんですよ。太郎のところでもめ事起こしたジジイですからね。すでに太郎から手紙が届いていて、なぜ秀虎がやってくるのか知っています。

 

しかも次郎としては、太郎の臣下ってのがそもそも気に入らない。1歳しか年が離れていないのに、おかしい。役不足だってわけですよ。

 

そこで次郎は「太郎」の命令を最大限利用して、やってきた秀虎に対し「武装を完全に解除して、部下も放り出して、身ひとつでいいなら城に入れてやってもいいけどそれ以外は無理。それがイヤなら太郎にとりあえず謝るのが先」って感じの対応をするんですよ。

 

いい感じに太郎のせいにしつつ、老害は排除って感じです。もちろんこの時点で次郎の本音は秀虎に洞察されてますけど、ギリギリ名目的に仕方なくやったテイは保たれています。本心なんですけどねwww

 

ここで秀虎は、次郎も敵だってことに気づくんです。太郎も、次郎もだめ。頼れない。むしろ敵。


秀虎は生きてますからね。部下たちも最小限とは言え、います。最低限の武装もしてるんですよ。プライド的にも体裁的にもさすがにそれが出来ないってことで、がっかりする。

 

結局行く当てもなく、さまよって飢え死にしそうになっているところを、かつて追放した三郎の元部下に助けられます。

 

で、その人が言うんですよ、三郎を頼ったほうが良い。いまは隣の国にいるから、頼ろうよって。

 

ここで秀虎が素直に三郎のところに行って、「引退は誤りだった。お前の見解が正しかった。すまん。助けてくれ」って言ってれば終わった話だったんですよ。

 

三郎も口は悪いけど親思いで、いい人。正直で素直で戦が上手い。きっと、国を太郎と次郎から取り戻すことができたはずなんですよ。

 

ところが秀虎にはプライドがあるんです。しかも、秀虎の部下のなかに太郎のスパイが混ざってて、悪い方向に秀虎を導くんですよね。

 

三郎を頼らなかった秀虎はそのあと、太郎の部下を頼って身を寄せるんですけど、そいつももちろんスパイ。というかそもそも太郎の部下ですしね。そりゃあんた、秀虎の味方をするはずがない。

 

まんまと秀虎は罠にかけられて、太郎と次郎の連合軍が攻めてきます。今度はマジです。秀虎をぶっ殺そうと息子2人が挑んできます。戦争ですよ。もうこれは内戦。親子喧嘩どころじゃない。

 

「もうやりきった。あとは引退して、静かな余生を楽しみたい」みたいな思いは、容易く裏切られて、平和だった国はめちゃくちゃになるんです。

 

そのあと秀虎は頭がおかしくなります。文字通り。

 

なんとか、太郎や次郎に直接殺されることは避けられるんですけど、もう廃人のようになって野をさまよいます。

 

ただ秀虎がそんな状態になっても「忠臣」ってのはいるもので、それでも助けてくれます。なのでその後もギリギリ生き延びるんですけど、秀虎がもっと若い頃にやらかした悪行の数々の亡霊に悩まされます。

 

ま、亡霊って怨霊って意味では無くて、なんというか昔の悪行のツケが回ってくるというか、あんなひどいこと、こんなひどいことしたってのが提示されて、思い出しちゃうんですよね。弱気なところにこの思い出が出てきて、やっぱり正気を取り戻せず、おかしいまま。

 

最後は、見かねた三郎が危険を冒して、隣の国から少数の軍を率いてやってきます。秀虎を助けに来るんです。でも三郎はなんとか秀虎と再会したところで、次郎の部下に射殺されて終わり。無慈悲です。秀虎もそんな三郎と和解した直後に殺されたのを見て、悲しみのどん底で命が尽きます。寿命です。

 

ちなみに、太郎と次郎が組んで秀虎を攻めたときに、どさくさに紛れて次郎は太郎を暗殺しています。

 

その後は次郎が国を治めることになるんですけど、この内乱は周辺国にとっては格好のチャンス。

 

今まで、強くてやっかいだった秀虎が引退したどころか、引退に伴って内戦状態に陥っているとなれば、当然攻めてきますよね。

 

案の定、隣の国が攻めてきて国は滅亡。最後まで生き残った次郎も戦乱の中、直接的には「死」を描かれませんでしたが、あの状況で立て直せるはずもなく、「御覚悟を」というセリフでで締めくくられるところから見ても、まあ生存は無理でしょう。

 

次郎も死に、国は滅亡。神も仏も無い世界。そういうことです。無慈悲です。

 

……というのがざっくりとした流れ。

 

太郎が死に、三郎が死に、秀虎が死に、次郎が死ぬ。

 

これで「一文字家」の4人の男が全員死にました。

 

ちなみに、ここまでで次郎の嫁さんも、太郎の嫁さんも死んでいて、全員子供がいないのでやっぱりこれで一家滅亡です。

 

最強の武将の家が、国が、こうも簡単に滅びるのかと思うと無常ですねえ。虚しさがこみ上げてきます。

 

もう、どこでなにが間違ったのか考えると、やっぱり秀虎が生きている間は引退できなかった、するべきではなかったってことになるかな。

 

感想/椿の方の「憎悪」と「執念」がものすごい

 

この映画をたまに見返したくなるんですけど、とにかく「椿の方」って人がやばいんですよね。

 

最初は太郎の奥さん(正室)で、のちに次郎の正室(実質)になる人です。

 

この人は、秀虎が義理の父ってことになりますけど、自分の父親と母親と兄弟が秀虎に殺されてるんですよね、直接間接含めて。

 

要するに、親の仇ですよ秀虎は。憎まない理由が無い。復讐の機会をうかがっていたってことになるのかな。自分以外の家族は殺されたけど、その「親の仇」の息子と結婚させられた心境を思うと、ものすごい憎悪が感じられます。

 

椿の方については、とにかく名シーンがいっぱいあるのでその辺については映画を観てもらいたいです。お気に入りは、太郎が戦死(本当は暗殺された)直後に形見の兜を持って次郎のところに行くあたりです。何度見ても素晴らしいシーンです。

 

太郎と次郎に、間違ったことを吹き込み続けて憎むべき親の仇ファミリーを全滅、根絶やしにするわけですから、椿の方はある意味「名軍師」かもしれません。

 

ついでに言っておくと、もともと次郎にも嫁さんがいて、末の方って言うんですけど、この人もまた滅ぼされた武将の娘です。

 

物語の全貌を思い出すと、ということは、とにかく秀虎って人は、いろんな国を攻め滅ぼしては武将の娘を拘束して、自分のところの息子と結婚させて生かしてやる。でもそれ以外は殺すって手法で勢力を拡大してきたんでしょうね。これは手が血で汚れてますねえ。

 

椿の方が一方的に悪い映画に見えますけど、そう考えると実は秀虎が一番鬼畜だったってことなんじゃないかとも思えてくるから、この映画の「正義」とか「善と悪」とかが、まったく混沌としてきてよく分からなくなるんですよね。

 

そこが良いところなんですけど。

 

とにかく、秀虎、太郎、次郎、三郎の男4人、そしてそれぞれの部下、忠臣、奸臣、スパイの動きを追いつつ、椿の方がどういう暗躍の仕方をしているのかも注目すると、もっとこの映画が楽しめると思います。

 

まとめ