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「日本一やさしい天皇の講座(倉山満)」感想/皇室消滅の危機をどう乗り越えるか

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「右翼も左翼も、自称保守のバカもみんな嫌い」という倉山先生の本は、いつも勉強になります。
 
歴史にめちゃくちゃ詳しい倉山先生の本だけあって「感情論」を抜きにした「可能な限り『事実』や『史料』を基づく」議論の進め方や姿勢が実に素晴らしいと思っています。

 

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 「日本一やさしい天皇の講座(倉山満)」感想

 
 

全体的な印象:「前例」の有無まとめ

 
タイトルからして「天皇」の本ですが、結構「歴史」の勉強になります。当たり前ですけど。
 
やっぱ「天皇」について語り始めると、どうやっても「日本史」に結びつきますよね。
つくづく、そう思いました。歴史知らないと何も語れないなあ、と。
 
歴史のお勉強が苦手だった僕としては、歯がゆい思いで胸いっぱいです。笑
 
基本的に、神話そして古代の天皇から戦国時代の天皇、江戸時代そして近現代の天皇まで、幅広くカバーしながら実に様々なエピソードを集めて「前例」があったのか、無かったのか、をはっきりさせてくれる本だと思います。
 

僕の問題意識:女系天皇は有りか無し/皇室維持のためには

 
色んな「前例」の有る/無しを知れたことが、この本を読んで良かったことです。
僕の研究テーマは『女系天皇』についてです。

要するに「女系天皇の前例」があったのか、無かったのか知りたかったのです。
 
ホント紛らわしいですよね、「女性天皇」と「女系天皇」って。
たった1文字違いですけど意味がまるで違うし。
 
「なんのこっちゃ」ですよ、まったく。
 
一応復習しておくと、
 
  • 女性天皇:女性の天皇。前例有り。
  • 女系天皇:母方で歴代天皇につながる天皇。だから男性天皇であっても「女系天皇」はあり得る。前例無し。
 
こんな感じですかね。
 
で、なんでそんなことが気になっているのかというと「愛子さまを天皇にしよう!」という意見に対して、自分はどういう態度を取ったらいいのか考えたかったからです。
 
いまのルールに則って皇位継承をしていくと、悠仁殿下の代になるころにはどう考えても、皇室の危機です。

圧倒的、男性不足。
 
残念ながら人には寿命がある以上、「死」による皇族の減少は言うまでもありません。
皇族だろうが国民だろうが人間である以上、必ず死にます。皇族方が年齢順に死ぬことで、そもそもの数が減っていきます。
 
悠仁殿下が40代、50代、60代になる頃には、皇族は限りなく少なくなっている。
 
そして、皇族減少にさらに拍車をかけるのが皇籍離脱
女性皇族が一般人男性と結婚すると、皇族ではなくなる。これが痛い。
 
直近だと、千家典子さんの例(2014年)や黒田清子さんの例(2005年)があります。
さらに2017年には眞子さまの婚約が発表され、また1人皇籍離脱が確実になっている。
 
ほんと頭が痛い問題です。

ここにどう答えるか、試されている気がします。
 
皇族は忙しいんです。
天皇はもっと忙しい。
 
ただでさえ忙しいのに、皇族が減ったら仕事の割り振りも出来ない。
これが問題ということです。
 
「継続は力なり」ですから、少なくとも1,400年以上続いてきた皇室をやめてしまうわけにもいかない。
精いっぱいの努力をするとすれば、どういう方法があるのか。
 
僕はこれを考えたかったわけです。
 
これに答えてくれるのが、この『日本一やさしい天皇の講座』というわけです。
 

結論:女系は無し。女性天皇はあり。皇室維持のためには「旧皇族復活」を。

 

 ズバズバいくよー!
 

女系天皇は有りか無しか。

 
無し。前例が無いので、極力避けるべき。新儀は不吉ぞ。
 

女性天皇は有りか無しか。

 
有り。過去いくらでも前例あり。仮に愛子内親王殿下が即位しても何ら問題は無い。

ただし、皇室典範を変えないと無理。(現行制度では女性は天皇になれない)
 

女性宮家創設は有りか無しか

 
有り。前例がある。(桂宮淑子内親王の例)
したがって「一般人男性と結婚した女性皇族が皇籍離脱しなくてもよい」となっても、おかしくはない。
 

女性皇族と結婚した民間人男性の扱いは?

 
「準皇族」として、何ら問題は無い。前例はある。
(民間人を皇族に準じるような扱いを過去にしている)
 
ただし、生まれた子供は「皇族」ではない。もちろん「天皇」にもなれない。
(女系になってしまう。前例がない)
 

皇室維持のためにはどうすればよいか

 
「旧皇族(の子孫)」の皇籍復帰という方法がある。
マッカーサーの都合で「皇族ではなくなった人たち」の子孫に、皇族に復帰してもらうということ。
 
一度民間人になった人が皇族に戻り、天皇になった前例はある。
また、民間人になってから5代までは皇族に復帰できる慣例を踏まえると、十分検討に値する。
 
ただし、昨日までサラリーマンだった人たちが「皇族」となり、さらには「天皇」になるとすると、国民が親しみを持てるかという疑問が確かに出る。

なので旧皇族家系の末裔の人たちを「皇族」に戻して、その人たちに皇室を盛り上げていってもらうというよりは、目的はその次の世代にある。
 
つまり、復帰した人たちの子供は、生まれながらの「皇族」だからである。
これなら問題はない。

だから皇族復帰した人たちが天皇になるというよりは、その人たちの子供が天皇になれば、皇室消滅の危機は回避される。
 
悠仁殿下の次の代(悠仁殿下の子供)に、もし男子が生まれなかった場合は皇室は消滅してしまう。
だから最悪のその時に備えて、旧皇族の皇籍復帰を模索すべき。
 
前例のない女系天皇より、前例のある「皇籍復帰」から考えたほうが無難。
 

まとめ

 
「旧皇族」の皇籍復帰、は前々から言われていたアイディアですね。
僕も知ってました。

ただ、自分の中で「前例があったのか、無かったのか」という部分がずっと引っかかってました。
 
今回この本を読んで「前例はある」と確信できたので、すっきりしました。
また、「女系天皇は存在しない」に確信を持てたので、これもすっきりです。
 

追伸

 
最後に一つ余計なことを書いておきます。
「マジで!?」と思った記述です。
 
今の皇室には、コリアンの血が入っています。というと驚く人がいるのですが、歴史的事実です。
 
ネトウヨが卒倒しそうな話ですね。
「倉山は左翼」と言いかねない、不都合な真実かもしれません。
 
でもこれは「今上天皇」もお誕生日会見の場で認めている事実。
ネトウヨがこれにどう向き合うのか、僕は知りたいです。
 
歴史って面白いよね。