ビットコインの「マイニング(採掘)」について解説します。
「マイニングって何?」から「マイニングのやり方」、そして「マイニングって儲かるの?」という疑問に答えます。
マイニングとは何か/数学の問題を解いて報酬をもらう仕組み
「マイニング(採掘)」とは、新たなビットコインを「発見」するための計算のことです。
「発見」すると報酬としてビットコインがもらえます。
「懸賞クイズに応募して、正解すると賞金がもらえる」というイメージを持ってもらえればよいでしょう。
これがビットコインの「マイニング」です。
マイニングには「お金」がかかる
「発見(=マイニング)」は「数学の問題」を解くようなものです。
なので、計算さえできれば素人だろうが数学者だろうが、誰でも出来ます。
しかしビットコインの発見が「無報酬」だと誰もマイニングしません。
そこでビットコインは「発見」すると「ご褒美(報酬)」がもらえる仕組みをとっているのです。
ですからビットコインが欲しい人は「マイニング」をしています。
そしてより多く、より効率よくビットコインを発見するために「マイナー(マイニングをしている人)」達は手法を日夜研究しているのです。
マイニングに必要な数式は、日々難しくなっています。
そうなるとマイニングには高度な計算が必要になり、人間の暗算では限界が出てきます。
ですからマイニングにはコンピューターを使うのが普通です。
さて、このコンピューターは電気で動きます。
そして高度な計算をすればするほど電気の消費量が増えます。
ということは、より高度な計算をしてたくさんマイニングすればするほど使う電気の量が増え、膨大な電気代がかかってしまうのです。
またチンタラ計算していても効率が悪いので、より計算が早い高性能なコンピューターを使う必要もあるでしょう。
このようにマイニングでビットコインを手に入れるためには、投資(コンピューターや電気代)が必要ということになります。タダでマイニングができるわけではありません。
高いコンピューターを買って、電気をじゃんじゃん使って延々と計算して初めて、ご褒美の「bitocoin」がもらえるのです。
この「計算・発見・報酬」という一連の流れを「金鉱掘り」に例え「採掘(マイニング)」と呼んでいます。
マイニングを支えるブロックチェーン/「P2P」は「Line」と同じ仕組み
ビットコインは「ブロックチェーン」という仕組みで「取引データ」をすべて記録しています。
記録する場所は「分散型台帳」と呼ばれる形をとっており、要は「世界中のコンピューターにちょっとずつ分散して記録している」ということになります。
このような仕組みのもとでお金のやり取りをすると、その動きは全て「数珠つなぎ」に記録されます。
つまり、前後の情報も含めて記録しているということです。
この仕組みがあることによって一部を書き換えたり、嘘のデータを加えたりすることはできなくなっています。
これが「ブロックチェーン」という、ビットコイン最大の強みです。
「ブロックチェーン」により「データの改竄」がほぼ不可能となり、セキュリティ面で従来の送金システムより優れていると言えます。
だからこそビットコインには「価値」があり、最近話題になって値上がりしているのです。
しかしこの「取引データをすべて記録」する作業は、大変です。
膨大な数のコンピュータを使って気が遠くなるような計算をしなければなりません。
そこで「P2P」という考え方を応用します。
通話アプリ「Line」にも使われている仕組みですね。
「P2P」というのは「1台のコンピューターが一括で管理して動かす」のではなく、「無数のコンピューターをつないで全体であたかも1つの大きなシステムを動かしているかのような状態」を目指すものです。
ビットコインも「P2P」の考え方を応用していて、複雑な計算を1台のコンピューターでおこなうのではなく、世界中の色んな人のコンピューターの計算能力を少しずつ借りて管理をおこなっています。
この「P2P」があるおかげで、営業時間という考え方も無く好きなときにお金のやり取りができるようになりました。
また、システムやサーバーがダウンするということもないです。
ビットコインは「ブロックチェーン」という仕組みで「セキュリティ」の問題を解決し、「P2P」という仕組みで「誰が計算するのか」という問題を解決しているのです。
マイニングのやり方/方法は簡単だが個人では非効率
ビットコインの「マイニング」では、具体的にどのような問題を説いているのか。
次のようなイメージを持つと良いでしょう。
- 「ハッシュ値(1つ前のブロック)」がある。
- 「ランダムな変数」を適当に用意する。
- 「ハッシュ関数」に変数代入して計算する。
- 新しくできた「ブロックハッシュ」の頭文字が「0」から始まり、「0」が19ケタ連続する値であれば正解。(連続桁数は年々増えています)⇒ビットコインの誕生
- 不正解なら再計算。「ランダムな変数」を手当たり次第変えまくって、とにかく総当たりで計算する。
こんな感じのことを延々とやっているのがマイニングです。
一応これは数学的な問題なので、人間の頭で考えることも出来ます。
以前「紙」と「鉛筆」でマイニングをやってみた動画が話題になっていましたね。
なので理屈としては誰でもマイニングは可能なわけです。
(※気が遠くなるような計算を続けなければいけませんが)
参考記事:紙と鉛筆と暗算でBitcoinマイニングに挑戦する強者が登場 - GIGAZINE
なお、この記事の執筆時は「0000000000000000000cf975350a845f73a363cebf218295204b3b94f441929b」というハッシュ値が最近もっとも新しく発見された「正解(ハッシュ値)」でした。
この「ハッシュ値」と呼ばれる値を見つけ出すのが、マイニングの本質です。
マイニングは儲かるのか?/報酬は減っていく一方
マイニングの報酬額は「半減期」という呼ばれるサイクルでコントロールされています。
マイニングが成功するともらえる報酬額の推移
50BTC(2009年)
↓
25BTC(2013年)
↓
12.5BTC(2016年)
↓
6.25BTC(2021年)
↓
・
・
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2140年ごろ終了
なんでこんなサイクルで動いているのかというと、「インフレ」を防ぐためです。
無限にビットコインが生まれてくる仕組みでは、価値がどんどん下がっていきます。つまり、インフレ状態ですね。
これを防ぐために、ビットコインはあらかじめ「発行量」が「2,100万枚」と決まっているのです。
ちなみに、2017年11月11日現在で「1,600万BTC」程度が発行済みです。
(Bitcoin Block Explorer - Blockchain)
(Bitcoin Block Reward Halving Countdown)
すでに7割以上が発行されているのですね。
さて、直近の半減期は「2016年」でした。
したがって2017年現在の報酬額は「12.5BTC」です。
つまりビットコインのマイニングに成功すると「12.5BTC」がもらえるというわけです。
いまのところ「1BTC=80万円以上」で取引されていますから、マイニングに成功すると単純計算でも「1,000万円くらい儲かる」となります。
具体例:Zcashのマイニング
仮想通貨「Zcash」を例に、マイニングがどれくらい儲かるのか考えます。
詳しくはこちらの記事をお読みください。
「儲かる」のは事実だと思います。
ただし初期投資が結構な金額になるのと、やはり日本国内でマイニングをおこなうとなると電気代が馬鹿になりませんね。
ある程度まとまった資金力がないと、マイニングマシンによる採掘は難しいと思います。
マイニングマシン「ASIC」
(仮想通貨を掘る「マイニング」をやってみた | ハーバービジネスオンライン)
購入費用:350万円(5台購入)
スペック:550メガハッシュ(1台あたり)
電気代:71万円(年間)
儲け:515万円(年間)
=8~9か月で元本回収可能
(仮想通貨を掘る「マイニング」をやってみた | ハーバービジネスオンライン)
人気サイトなら「アクセス数」でマイニングできるが…
もしアクセス数の多い「Webサイト」を持っていたら、仮想通貨のマイニングができるかもしれません。
というのも「Coin Hive」や「coinlab」という会社のサービスが提供している「コード」をそのサイトに埋め込むと閲覧者のCPU(パソコンやスマホ)を使って仮想通貨のマイニングができるからです。
ただし、この手法は「サイトを見ている人に無断でマイニングをする」ということになります。(注意書きがない限り)
簡単に言うと「勝手に他人のパソコン」を操作していることになります。
これでは「悪意を持ったプログラム」と誤解されても仕方ありません。
Webサイト上でマイニングする行為は「倫理上」の問題があるかもしれませんね。
また、ウィルス対策ソフトによってはサイト閲覧者の画面に「警告」が出ることもあるそうです。
イケハヤさんのサイト行ったらAvast反応した pic.twitter.com/vKkGVg4ac8
— とんまあ@アフィカス (@tonnmaa) 2017年10月31日
ですから、Webサイト上でマイニングをおこなうかどうかは、サイト運営者のポリシー次第ということになります。
Webサイトによるマイニングは、くれぐれも慎重にということになるでしょう。
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まとめ
- 「マイニング」とは、数学的な問題に解答して報酬(ビットコイン)をもらう仕組みである。
- 「マイニング」には「高性能なマシン」と「多額の電気代」が必要なため、一般人が参入するにはハードルが高い。
- ビットコインを支えているのは「ブロックチェーン」と「P2P」の仕組みである。
補足:暗号についてもっと知りたい人のための本『現代暗号入門』
暗号の仕組みについてもっと知りたい人は、こちらの本がおすすめです。
ビットコインの本ではないですが、ハッシュ関数や公開鍵暗号方式などについて「暗号学」の観点から非常に分かりやすく解説しています。
参考記事
もっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。