- 先生は生徒を歩かせた
- 先生は生徒に歩かせた
この違いは何でしょう。ポイントは「強制」と「許可」です。
「を」は強制の意味が含まれる
「を」は強制力を強調するので、「先生は生徒を歩かせた」という例文だと先生が強制的に歩かせたという意味合いが含まれることになります。
「に」は許可の意味が含まれる
一方で「に」は許可の文脈を強調するので、「先生は生徒に歩かせた」という例文だと生徒が歩きたい意思を尊重して先生が許可をした結果、生徒に歩かせたという意味合いになります。
意思がない場合は必ず「を」を使う
- タロウはハナコを泣かせた
- タロウはハナコに泣かせた
この例文だと前者は普通ですが後者は何か変です。この違和感の正体は「泣く」という動作は本人の意思を必要としないので「を」を使います。泣くという動作は本人の意思に関係ない動作です。したがって許可を求めることもありません。
ただし、例外として「演技」だった場合はどうでしょう。
- タロウはハナコに泣かせた
が成立するのです。つまり、タロウはハナコに強制力を持って泣くという動作をさせた=演技という解釈も可能となるのです。