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在宅ワークで生きているアラサー男のブログ

【小公女セーラ】セーラがラビニアと握手したのはプリンセスだから/「憎む気持ち」を憎む宗教的価値観

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かわいい女の子がひどい目に遭うアニメ見たいなってたまに思うこと、ありますよね? ……ありますよね?

 

そんなときにおすすめなのが『小公女セーラ』。「あーーーーーーー、可愛い女の子がいじめられてひどい目に遭うアニメ見たいなーーーーーーーーーー」って思って、最近見直しました。

 

何度見てもいいですね。セーラ役の島本須美さんの声が本当にハマリ役です。透明感があって、ああいう役どころにピッタリの声してます。ナウシカみたいな声しやがってからに!

 

さて、第12話から第42話までの、30話に渡ってひどい目に遭い続けたセーラですけど終盤、救われます。やっと。この胸糞悪い中盤があるからこそ最後が良いんですよね。でもこの救われた後の展開がなんかイマイチ腑に落ちないんです。

 

たとえば、また金持ちになったセーラがミンチン女学院に数十億円寄付する部分がよく分からないし、ラビニアとお友達になりたかったと言って彼女と握手する辺り、ちょっと理解できないです。

 

ただ、それでも「分からん」で終わったら面白くないので、自分なりに納得できる答えを出すとするなら「プリンセスであろうとしたから」だし、憎む気持ちを憎んだからってことになるのかな。

 

そんなことを書き記します。

 

 

セーラは、なぜ気高いのか(色々考えてみる)

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原作小説と違うって話はとりあえず考慮しません。あと、子ども向けだからハッピーエンドにした、ってのもこの際考えません。

 

あえて、小公女セーラの世界観の話で考えると、やっぱりセーラは個人的感情を超えた存在として振舞おうとしているのではないかと思います。いわゆる「つもり遊び」ですね。セーラがよく言っていた「プリンセスになったつもりで」ってやつです。

 

いつだったか、ラビニアを「心の中で殴った」って話ありましたよね。あの辺りのセリフがセーラの「セーラらしさ」なんじゃないかなと。プリンセスとはこういうものだ、気高いレディとはこうあるべきだ、みたいなものをたくさん持ってるんじゃないかな。

 

元々、セーラは本の虫だしね。賢いから。

 

だから「ラビニアひどい! ムカつく!」って思うけど、でもそういう態度はプリンセスじゃないから必死に自制というか自律していたんだと思う。

 

11歳の女の子、恐ろしいね。

 

セーラは聖母とか聖人とか神とか菩薩とか言われるけど、やっぱりそういう宗教チックな存在かもしれないね。ある意味気持ち悪いかも。だってあんなにいじめられたのに復讐しようとか思い知らせてやろうとか思わないからね。

 

そういう話しだったらちょっとセーラのイメージに関わるから、あの終わり方でまったく構わないけど、違和感はあるよね。けがれた常人には分からない感覚。

 

でもセーラのすごいところはそう言うところに達しようと願っていることだし、実践してることかな。ひどくお腹が空いてても、道で拾ったコインで食べ物を買おうとしなかったし(ネコババしなかった)、周りの大人たちがネコババしちゃえって教えてくれても(聖職者とかパン屋とか)決してネコババしようとはしなかった。

 

それどころか自分よりさらにお腹が空いてそうな人にパンを買ってやり、自分はおまけで貰ったパンを1つだけ食べる。

 

しかも丸々1個食べるわけじゃなく、ベッキーと半分こ。しかもネズミにも分けてやるわけ。

 

清貧とかそういうレベル超えてイカれてやがるぜセーラ。

 

でもなんとなく義務感で動いているよね。セーラが社会に対して今自分が何をできるかみたいな。恵まれていても貧しくてもなすべきことをなす。善を為すって感じ。

 

あんだけミンチンにいじめられたけどミンチン女学院に数十億円の寄付をしたのは、ミンチンのためにではもちろんなくて、「教育分野」に寄付したってことなんだろうな。

 

あえてミンチン女学院にってところは、一番身近で、良くも悪くも思い出がたくさんあるからだけど、恵まれた者として教育に寄付するみたいなそういう心情があったと思う。もちろんロッティとかアーメンガードとか、よき友のためにでもあるし、結局また自分が通う学校になるわけだからね。

 

嫌みは無いよね。学校を支配しようともしていない。またミンチンがチヤホヤしてくるけど、心を開かないでしょう。社交辞令を述べる程度なんじゃないかな基本的に。人間不信になりそうだけど、ああいう劣悪な人種がいることを知ったという意味でまたセーラは強くなってしまったよね。初めてベッキーに会ったころ理解できなかった「空腹」という概念も体験済みだし。

 

あと、ラビニアか。ラビニアは最後、負けを認めたと思うよ。あのわずかなしぐさ、目線、動きで分かるけど、やっぱりあれは自分の敗北を認めたと思う。でも一生負け続けるとは思って無くて、再戦する気満々だよね。それがラビニアだよなあ。

 

セーラが自分を持っている一方で、ラビニアも自分を持ってる(悪サイドだけど)。

 

そういうところがラビニアがセーラに目を付けていじめた理由だし、自分よりお金持ちで勉強できてダンスできて美人でムカつくって次元から、なぜセーラがくじけないのか、もっと弱音を吐くところが観てみたいと思ったんだろう。でも見せなかった。

 

セーラはめっちゃ強かった。ラビニアも負けを認めざるを得なかったんだと思う。

 

次会うとき、あんたがダイヤモンドクイーンなら、あたしはファーストレディ、ってセリフは最大限の譲歩と最大限のプライドだよね。魅力的ないじめっ子、ライバル枠だったと思う。

 

これはこれとしてセーラはラビニアのそういう「(ある意味)醜さ」を理解できなくて、本当は人間は清らかで一時的にちょっとダークサイドに落ちることはあるかもしれないけど、根っこが腐っていてどうしようもない人はいないみたいな、そういう価値感があるんじゃないかな。

 

だからセーラのベストとしては「クラスメイト全員仲良し」であって、ラビニアともマジで仲良くなりたいと思ってるんだろうね。ガチなんだよセーラは。そういう風に解釈した。

 

絶対に分かりあえない2人だろうけど、だからこそ「我」が強くて、お互い意識しちゃうんじゃないかな。

 

セーラはホスト界の帝王ローランドみたいなもんだよ。

 

ラビニアが空を見上げて、そこに高潔で気高いセーラを見つけたとしても
残念ながら遥か上空の飛行機の中のファーストクラスのセーラからラビニアのことなんて全く見えない

 

そういう感じだと思う。

 

要するに雑魚。所詮は、アメリカの成金の娘だからね。成金ってだけで論外だし眼中にないし、ましてやその娘ってだけの何でもない中2の女の子だからね。偶然そういう家に生まれただけだから。セーラもよくベッキーに言っていたでしょう。

 

ロールズの正義論に通じる気がする。今の地位は偶然だから、出来ることを社会に還元しなきゃいけないっていう。

 

まとめ

 

なぜミンチン女学院に数十億円寄付したのか(あんなにミンチンにいじめられたのに)

 

ノブレス・オブリージュ。セーラの個人的な感情はとりあえず置いておいて、寄付できるものとして身近な学校に寄付をした。ミンチンに対する恨みや憎しみはまた別の話。そして自分も生徒だし、自分に良くしてくれた友達のためにも経営を支えた(のかもしれないけど、やっぱりノブレス・オブリージュだから、義務として寄付したって感じ。だからこそ深い意味はない)

 

なぜラビニアと仲直りしたのか(あんなにラビニアにいじめられたのに)

 

セーラの目指す「プリンセス像」の行動原理が「理想主義」だから。クラスメイト全員が仲良しになればいいと思ってるから。もっとも純粋な人だから。理想を追いかけたいから。あんなにひどい目に遭ってもラビニアの優しさを信じているから。セーラの狂気かもしれない、ある意味。

 

蛇足

 

セーラが心配。ピーターやベッキーを通して世界(イギリス、ロンドン)の貧富の格差を目の当たりにして、共産主義とか左翼の活動に目覚めたりしないか心配。読書家で頭が良くて優しいからこそ、拗らせたらヤバそう。

 

金持ちの優しさがときに徒になるよね。セーラがベッキーに優しくした結果、仕事サボったことになって怒られるとか、クリスフォードさんの魔法の食事がセーラとベッキーを追い詰めることになったりとか。なかなか難しいね、恵まれない人をさりげなく助けるとか支えるって。

 

さて、可愛い女の子がひどい目に遭う姿は堪能できたので、次は美少年がひどい目に遭う姿が見たいよね。次、ロミオの青い空いってみよー!www