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出生前診断には5つの種類がある|「疾患が分かる検査」と「確率が分かる検査」

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出生前診断を受けることで「胎児」の遺伝的疾患を調べることができます。

 

検査方法はいくつかありますが、大きく分けて5つあります。

 

  1. 羊水検査
  2. 絨毛検査(じゅうもうけんさ)
  3. 母体血清マーカー検査(クアトロテスト)
  4. 超音波検査(エコー検査)
  5. 新型出生前検査(NIPT)

 

1と2は、ほぼ確実に疾患が分かるので「確定検査」と言います。
3~5は、疾患の可能性を推定するにとどまるので「非確定検査」と言います。

 

それぞれの検査について簡単に解説します。

 

 

出生前診断|5つの方法のメリット・デメリットを解説

 

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1.羊水検査【確定】

 

検査方法

 

母体の腹部に針を刺し羊水を採取
羊水に混じる胎児の細胞を直接分析する。

 

検査可能な時期

 

15週~

 

診断できる疾患

 

染色体疾患全般

 

メリット

 

胎児の細胞を直接分析するので、染色体異常に起因する疾患であればほぼ確実に診断できる。(正常か、異常か、が確実に分かる)

 

デメリット

 

母体に直接針を刺す検査のため、その刺激が流産を誘発する可能性がある。(0.3%=1000人に3人の確率で流産の恐れ)

 

2.絨毛検査(じゅうもうけんさ)【確定】

 

検査方法

 

羊水検査と同様に母体の腹部に針を刺す。
そして、胎盤の一部である絨毛を採取
絨毛に混じる胎児の細胞を直接分析する。

 

検査可能な時期

 

11~15週まで

 

診断できる疾患

 

染色体疾患全般

 

メリット

 

羊水検査と同様に胎児の細胞を直接分析するので、染色体異常に起因する疾患であればほぼ確実に診断できる。

 

デメリット

 

母体に直接針を刺す検査のため、その刺激が流産を誘発する可能性がある。(1%=100人に1人の確率で流産の恐れ)


3.母体血清マーカー検査(クアトロテスト)【非確定】


検査方法

 

母体の血液を採取し、血中に混じる胎児の細胞から染色体異常を調べる。
染色体異常だった場合の特徴から染色体疾患の確率を割り出す。

 

検査可能な時期

 

15~18週まで

 

診断できる疾患

 

ダウン症、18トリソミー、無脳症、二分脊椎症

 

メリット

 

母体への負担が軽い

 

デメリット

 

健康状態、染色体疾患の可能性を確率で算出する検査のため、診断結果は確定ではない。(間違っているかもしれない)


4.超音波検査(エコー検査)【非確定】


検査方法

 

妊婦の腹部に超音波を当て、胎児の形態を診る。
胎児の形態から染色体疾患の確率を割り出す。

 

検査可能な時期

 

(通常検査)常時=いつでも可能
(精密検査)11~13週まで

 

診断できる疾患

 

(通常検査)胎児の健康状態全般
(精密検査)染色体疾患、形態の異常など

 

メリット

 

母体への負担が軽い

 

デメリット

 

健康状態、染色体疾患の可能性を確率で算出する検査のため、診断結果は確定ではない(間違っているかもしれない)


5.新型出生前検査(NIPT)【非確定】

 

検査方法

 

母体血清マーカー検査と同様に、母体から採血してその血液中に混ざる胎児の遺伝子を検査する。胎児の染色体疾患を推測する方法。

 

母体血清マーカー検査とは、診断対象となる疾患が異なる。

 

ダウン症や心臓疾患などに関わる3つの染色体について「数の異常」を検知できる。

 

検査可能な時期

 

10週~

 

診断できる疾患

 

ダウン症、18トリソミー、13トリソミー

 

メリット

 

母体への負担が軽い

 

デメリット

 

健康状態、染色体疾患の可能性を確率で算出する検査のため、診断結果は確定ではない(間違っているかもしれない)

 

トリソミーとは?/染色体が1本多いこと(数的異常)

 

トリソミーという言葉が出てきました。

 

トリソミーとは、染色体の数が通常2本であるべきところ3本になっている状態のことです。(数的な異常)


理論的には「新型出生前検査(NIPT)」を使えば、すべての染色体に関するトリソミーを確認することが出来ます。

 

ただし、日本産婦人科学会は「21」と「18」と「13」の3つのみ、トリソミー検査を認めています。(よって日本国内では、3つのトリソミーについてしか分からない)

 

  • 21トリソミーダウン症となる
  • 18トリソミー及び13トリソミー心臓疾患など身体機能の異常に関わりが深い


また、日本国内で「新型出生前検査(NIPT)」を受ける場合、35歳以上の妊婦に限られるなど条件があります。(臨床研究の範囲にとどめられている)


出生前診断の問題点/「命の選別」か「命を支える準備」か

 

ここまで「出生前診断の具体的な方法」について見てきました。

 

出生前診断について批判される問題点について考えます。

 

よく言われるのは、出生前診断の結果により「産む、産まない」を決めることは、「命の選別」になるという意見です。

 

その一方で「どのような状態で生まれて来るのか」を事前に知ることは、生後の適切な措置、その後の生育環境の整備など、生まれてくる命を受け入れる準備を可能にする、という意見もあります。

 

(命の選別ではなく「命を支えるための診断だ」という考え方)

 

正直なところ、これは倫理とか道徳の問題と言うことになるでしょう。
社会は「どうみなすか」、他人から「どのように見られるか」ということです。

 

技術的に「新型出生前検査(NIPT)」は日々進歩しています。

 

現段階においては、全ての染色体の「数的な異常」と「部分的な欠損」、そして「重複」がほぼ確実に診断できます。

 

また、単一遺伝子の疾患(トリソミーではなく、ひとつの遺伝子の異常で発症する疾患)についても高い精度で検知することが可能です。

 

その一方で日本はトリソミーの検査について「消極的」です。

 

日本における「新型出生前検査(NIPT)」は、妊婦の年齢や染色体群に条件を設け、さらに検査の範囲を限定しているからです。

 

海外の事例では技術の進歩と同時にNIPTを「マススクリーニング(全妊婦を対象とした検査)」としている国もあります。(アメリカを始めとした欧米諸国)

 

日本でも、海外と同じような「新型出生前検査(NIPT)」を受けられるように、条件を緩和あるいは撤廃すべきだという声があるのも当然と言えるのではないでしょうか。

 

結局は「技術的な問題」というより「倫理的な問題」ということになります。

 

精度が悪くて「使いものにならない検査」から「なぜ、あえて使わないのか?」という議論になりつつあります。

 

まとめ/どんな選択でも受け入れられる社会へ

 

出生前診断は、一見すると「命の選別」です。

 

しかし「準備」という意味では「命を支える診断だ」という意見にも一理あります。

 

出生前診断を「義務」とするかどうかは別として、少なくとも希望者については全員「一般臨床」の範囲で自由に受けられるのがベターではないでしょうか。

 

そしてその後の「選択」は夫婦の判断に任せるべきでしょう。

 

診断結果によっては「産むことが阻止される」政策がもしあれば、それはまさに「命の選別」ですが、「夫婦の判断」に正確な情報を提供できるのであれば「出生前診断」の自由化あるいは条件緩和も必要だと思います。

 

どんな結果であっても受け入れられる体制づくりこそ、社会に求められる責任ではないでしょうか。