それは金曜日。お昼前のこと。
内線が鳴りました。
電話のディスプレイには隣の課の課長の名前。
Y課長「今ちょっといい? 第1会議室なんだけど」
僕「あ、はい。大丈夫っす(けだるげに)」
まあ、退職の件だろうなと思いつつ離席。
会議室へ急ぎます。
ドアを開けるとY課長が1人座ってました。
内容は、やはり「僕の退職」に関する話。
要するに「半年、いやもう3か月続けて見ないか」というもの。
引き留められちゃったぜ!ハハッ
ドライな会社ですからねえ。
こんなこともあるのかと。珍しい。
聞けば、来る6月1日に組織改編があるそうで、
課のメンバーが入れ替えになるらしいです。
で、6月から僕とモッティさんの2人はY課長の部下になるんですって。(みんなには秘密だよ!)
「(僕の退職の件は)噂には聞いてたけど、さっき正式に聞いた」と。
どうやら先ほどまで「管理職会議」をしてたみたいなんですよね。
そこでは、退職案件とか産休案件とか、個性とかクライアントとか諸々を含めて、
課長陣で人員配置を考えていたということで、僕の退職が公表されたんです。たぶん。
実はY課長は僕が3年前に入社するとき、面接官だった人なんです。
つまり課長に認められたから入社できたってわけ。
そして、今でこそ別の課にいますが、入社後はY課長の下で働いてました。
あの頃は楽ちんでしたねー笑。
Y課長としても「見込みがあるのにもったいない」と思ったらしく、
声をかけずにはいられなかったということで内線したんですって。
Y課長
「誰の下で働くかで全然変わってくる」
「俺もこの会社嫌いだけど、俺のとこならもう少し違って見えるんじゃないか」
「なんつーかさー。もうさー。残念でさー」
「やっと俺の下に戻せたのにさー」
「男同士ってのもあるし、モッティもそうだけど、2人は管理職に向いてるからすごい残念だなって思って」
などと、色々嬉しい言葉をかけてもらいました。
ただ……今更「やっぱ続けます!」とはならないよね……。
半年考えてダメだったわけじゃん。大変失礼な言い方になるけど、所詮はY課長も会社の一員。組織人。部長の部下なわけですよ。業務命令で激務命令されたら断れないと思うんだよなあ。
あと、仮にY課長の下ならうまくいったとして、永遠にY課長の部下でいるわけ? 定年退職までずっとY課長の下にいないと、僕は壊れちゃうわけ?www
嫌じゃー!そんなみじめなのも嫌じゃー!www
それに去年の10月以来、疲弊してて、こっちもモチベーションがほとんど残ってないんだよね……。
気力が持たないわけですよ、ええ。
何というか、自分の意思の固さは確認できましたね。
ということで「そうおっしゃっていただけるのはありがたいですが」と前置きをしつつ、はっきりとNOと答えておきました。
Y課長は「部長に言ってないけど、A課長(僕の上長)には、引き留めようとしているって話ししてあるから」と付け加えつつ、「もう少し頑張ってみようと思ったら、いつでも言ってね。部長に謝る必要があれば俺から謝っとくから」と、またもありがたいお言葉をいただきました。嬉しいねえ。
もし退職者全員にこういう「ポーズ」というか、話術というか、
テクニックを駆使して思いとどまらせてきたのだとすると、すごく上手ですよね。
情に訴える作戦?みたいな。(我ながらひどい言いよう。それくらいスレてる)