「じゃあ、9時10分前に集合ってことで」「了解」
これ結局「何時何分」に集まればいいと思いますか?
もちろん正解は「8時50分」です。でもそうは考えない人も世の中にはいて……
「9時10分前」って結局何時なの?/「8時50分」が正解だけど、最初から「8時50分」と言うべし
普通「9時10分前」と言えば「9時」の「10分前」ですから「8時50分」のことを指します。最初の例の場合、8時50分に集まればいいということになりますね。
ところが「9時10分」の「前」、つまり「9時00分~9時9分頃」と理解する人も少なからずいます。
こちらはかなり少数派ではありますが、確実にいるのです。これではみんなが揃って集合できません。遅刻する人がもし「9時10分のちょっと前のことだと思った」と弁解したらどうでしょう。喧嘩になること間違いなしです。
ですから、できるだけどんな人に対しても「8時50分」と約束するのが良いということになります。時間の約束は正確に執り行うべきです。
「9時30分前」はもっとややこしい
それにしても日本語って不思議ですよね。「9時10分前」に二通り解釈する余地があるなんて……
でも、どっちが正解だろうが何だろうが、お互い解釈を一致させていないと意思疎通が取れない。集合できない。「9時の10分前」か「9時10分の前」かでこんなに大きく意味が違ってくるとは...... 8時50分に来た人と、9時9分に来た人では、だいたい20分ぐらいズレがありますからね。大問題です
あと個人的に思うんですけど「○時30分前」のほうがもっと怪しいです。
上の例だと「9時10分前」なので、さすがに「9時10分の前」とかいう何とも「微妙な時間(9時10分)」の言い方はしないだろうという暗黙の了解みたいなのが頭の中で働くので、瞬時に「8時50分だな」だと理解できます。
ところが「9時30分前」だとどうか。僕もかなりあやしい。自信がないです。10分刻みは細かすぎるけど、30分刻みの言い方は割と普段からしますよね?
だから「9時30分前」と言われると「8時30分? 9時29分頃?」みたいに頭の中がグルグルと混乱します。たぶん僕なら「え? 9時29分頃だよね?」みたいに、分刻みの回答を求めると思います。
ああ! 日本語って難しい!
この「○時10分前問題」を若者の日本語力の低下の文脈で語る人もいますど、やっぱりこれってただ単に曖昧なだけなんですよね、言い方が。バリアフリーじゃない。
「○時10分前」については「最近の若いもんはそんなことも分からんのか」でマウント取ってればいいと思います。でも「○時30分前」だと年配者の間でも意見が割れるんじゃないでしょうか。
まとめ
- 「9時10分前」は「8時50分」である。
- なぜなら「(キリの良い1時間刻みの)9時」より「10分(端数)」足りない時刻だからである。「9時10分前」は「9時の10分前」なのである。
- とは言え、正しい日本語がどっちかであるよりも大事なのは「共通認識」である。つまり「解釈の一致」である。
- 出来る限り正確に解釈の余地がない言い方をするのがベストだ。なぜ「8時50分」と言わないのか。最初からそう言えば済むことである。「8時50分」は「8時50分」以外に解釈の余地はない。言い訳は認められない! 時間の約束は正確におこなおう!