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「該当」と「当該」の違いと使い分け|「その」に置き換えられるかで判断すると分かりやすい

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「該当」と「当該」の違いは、「名詞・自動詞」か「連体詞」かの違いです。

 

もっと分かりやすく言うと、

 

「該当」「とある条件」がまず先にあって、その条件に当てはまるものすべてを「該当」と言います。「該当する(動詞)」とも言えますね。

 

例:該当者、該当団体、該当する国 → 何らかの条件に当てはまった「人」・「団体」・「国」と言う意味になる

 

一方の「当該」「今まさに話題になっているそのこと・もの」について指し示す言葉です。見分け方としては「当該」を「その」、「あの」、「例の」という言葉に置き換えられるかどうかです。

 

例:当該人物 → "その"人物=「当該」が正しい

 

間違いやすいポイントとしては、「当該」と言うべきところを「該当」と言ってしまうところです。

 

例えば「とある製品に初期不良がありクレームを受け、担当者として相手に謝罪しなければいけない場合」を考えてみましょう。そこで「該当製品の~」と言ったとします。これは間違いです。

 

正しくは「当該製品の~」と言うべきです。

 

なぜなら「該当製品の~」と言った場合、何らかの条件があってその条件に当てはまった製品すべてについて喋っていることになるからです。いま謝らなければいけないのは「その(初期不良があった)製品」についてです。何かの条件に当てはまった製品について謝っているわけではありません。

 

相手が「これおかしいよ」と言ってきた製品について、謝罪しなければいけないのです。

 

したがって、「該当製品」ではなく「当該製品」と言うべきなのです。

 

ただし何らかの「条件(不良品になる条件)」があってその条件にひっかかる製品全てについて、社外に向けて謝罪しなければいけない場合はこの限りではありません。話がまったく変わってきますからね。

 

例えば「1月2日から3月6日までに製造された製品」で、なおかつ「サイズ:大」にのみ発生している「誤作動」が判明したとします。この場合は上に挙げた条件が2つ重なった製品について謝らなければいけないので、「該当製品」と言っても間違いではありません。「該当製品につきましては、無償にて交換いたします。」などがふさわしいですね。

 

 

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「該当」と「当該」の意味の違い

 

辞書を引くとそれぞれの意味合いは次の通りです。

 

「該当」の辞書的な意味(三省堂 大辞林)

 

一定の条件にあてはまること。適合すること。 「刑法第一九七条に-する」 「 -者」

 

「当該」の辞書的な意味(三省堂 大辞林)

 

そのことに関係のあること。当の、それにあたるなどの意で連体詞的に用いる。 「 -官庁」 「 -事項」

 

まとめると「該当」と「当該」の意味はそれぞれ、

 

  • 「該当」…ある条件に当てはまること
  • 「当該」…いま話題の中で出てきたもの・こと

 

ということになります。

 

使い分けに困ったら、「その」に言い換えられるか考えてみてください。

 

「その」とか「あの」とか「例の」に言い換えられる場合は、「当該」が正しいです。

 

例:当該品につきましては(中略)ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。

「その」品につきましては(中略)ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。

 

言い換えられるので、「当該」が正しいことになります。

 

とは言ってもやっぱり「該当」と「当該」は似ています。ほとんど言いたいことは同じと考えて良いかもしれませんね。

 

ただし「文脈」で使い方が間違っていることもあるので要注意です。

 

「該当」のほうは良く使われるので間違って使うことは少ないのですが、意外と「当該」と言う言葉を知らない人が多いので気を付けなければいけません。

 

「当該」というべきところを「該当」と書いているビジネス文書をよく見かけるので、個人的に気になっています。

 

ケーススタディで考える「該当」と「当該」の使い分け

 

「当該」と言う言葉は次のように使います。実際にどのように使われているかみていきましょう。

 

社内調査を行い、速やかに航空局に報告するとともに、当該社員に対して厳正な処分を行っております。

弊社社員に関するお詫び|プレスリリース|ANAグループ企業情報

 

当該記事は6月16日にインターネット上で話題になっていた事象を記事化したものです。

ピースボート災害ボランティアセンターへの回答書 - 産経ニュース

 

謝罪文や回答文の中で「当該」と言う言葉が使われています。

 

謝罪文の文脈における「当該」とは、不適切な行動をしていた「社員(その社員)」のことを指しているので、「厳正な処分」を受けるのは「その社員=当該社員」ということになります。

 

その社員=当該社員です。

 

「その社員」に関する文章なので、「該当」と言う言葉は間違いと言う事になります。うっかり「該当社員」と言わないようにしなければいけません。

 

次に回答文のほうですが、特定の記事に対する抗議に対して回答する内容ということで「当該記事=その抗議された記事」という意味になります。その記事=当該記事、という言い方が正しいということになります。

 

「該当記事」と言ってしまいそうになりますが、別に何か条件があってそれに当てはまったから抗議を受けているわけではありませんので、やはり「当該」が正しいです。抗議を受けるような条件に「該当」したわけではありませんからね。

 

最後に「該当」と言う言葉も確認しておきましょう。先に述べた通り「該当」と言う言葉は「何らかの条件に当てはまった」ということを意味しています。

 

例えばこんな場合です。

 

該当社員の所得税預かり額を確認いたします。

Q.該当する社員の給与計算方法 – 株式会社ソリマチサポートセンター

 

この文章は「所得税計算がうまくできない人」について対処法を解説している文章なのですが、ここで使われている「該当社員」とは次の条件に当てはまる人です。

 

  1. 修正プログラム提供前の操作で、
  2. 1月の給与計算を行う場合で、
  3. 配偶者本人が「特別障害者」で、
  4. 「同居」していて、
  5. 年間の合計所得が「38万円以下」の「社員」

 

つまり上に挙げた5つの条件を満たしている(当てはまる)社員のことを「該当社員」と言っているわけです。

 

特定の人物のことを言っているわけではありません。具体的にAさんのことでもなく、Bさんのことでもなく、上の条件に当てはまる人すべてのことです。

 

なので「当該社員」ではなく「該当社員」です。「該当する人」と言う意味で使われているということになります。

 

謝罪文に出てきた「当該社員」は「不適切な行動をした社員」のことを言っているので「当該」という言葉を使っていましたが、今回の場合は特定の条件に当てはまる社員らのことを言っているので「当該」ではなく「該当」が正しいのです。

 

まとめ

 

  • 「該当」とは「特定の条件に当てはまった人すべて」を指す言葉。「その人(そのこと)」と言う意味では使わない」
  • 「当該」とは「今まさに話題に上がったその人・もの」を指す言葉。「当該」を「その」・「あの」・「例の」に置き換えても意味が通じる。

 

蛇足:僕も昔は間違って使ってました

 

まあ、偉そうに解説してきましたが実は僕が「当該」という言葉を知ったのは、社会人になってからです。普通にハタチ過ぎてから知りました。笑

 

ビジネス文章の中で「該当」と言う言葉を使って、上司にハンコを貰いに行ったところ「ここ、『当該』じゃない?」と指摘されたのがきっかけで「当該」という日本語を知りました。恥ずかしいっすね。笑

 

なので、実体験から「当該」を「該当」と言ってしまう気持ちがよく分かります。紛らわしいですよね。でも間違いは間違いです。明らかに文脈的に間違っていることがあります。「当該」と「該当」の違いを知っている人からすれば違和感ありまくりなのです。

 

なので「当該」が正しいか、「該当」が正しいか、ビジネス文章で「当該(該当)」という言葉を使うときは両者の違いに注意しながら使い分けましょう。