「札幌市動物の愛護及び管理に関する条例」が、平成28年10月1日から施行されます。
1.条例の成り立ち
◆そもそもの発端
札幌市動物愛護管理基本構想(平成27年5月に策定)
【目標】
人と動物が共生する社会の実現
【期待】
・市民が動物を命あるものとして尊重。
・犬と猫の殺処分を「減らす」。最終的には「無くす」。
◆そして新条例へ
・札幌市畜犬取締り及び野犬掃とう条例(昭和46年12月21日)
+
・北海道動物の愛護及び管理に関する条例(平成13年3月30日)
↓ 一本化
●札幌市動物の愛護及び管理に関する条例(平成28年10月1日施行)
2.新条例の目的(第1条)
- 動物の愛護及び管理に関して必要な事項を定める
- 市民の動物に対する愛護の意識の高揚を図る
- 動物の健康及び安全を保持する
- 動物の福祉の向上を推進する
- 動物の取扱いにより人に及ぼす迷惑及び動物による人の生命、身体又は財産に対する侵害を防止する
- 人と動物が共生する社会の実現に寄与する
3.対象となる動物(第2条)
牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひるのほか、飼い主のいる哺乳類、鳥類、は虫類
「熱帯魚」は入らないみたいですね。
4.対象となる人(団体)(第2条)
・動物の所有者又は占有者
・動物関係団体
飼い主(所有者)は勿論ですが、占有者も対象です。
占有、要は管理している範囲に動物がいるってことですね。
だから「一時的に預かっている人」とか「保護している人」もこの条例が適用されます。
5.市民に求められるもの(第3条~第6条、第15条)
・動物の愛護に対する理解と実践
・市政への協力
・災害発生時の動物の救助等に関する協力
注目は、災害時ですね。
災害が発生した場合、市民は動物の救助に協力しなければなりません。
東日本大震災然り、熊本地震然り、被災した動物もまた痛ましい。
彼らは勝手にどうすることもできませんから、何とか助けないといけません。
6.飼い主に求められるもの(第3条~第6条、第15条)
- 動物を適正に飼養する
- 動物の健康と安全を保持する
- 動物による人等への危害を防止する
- 動物が人に迷惑を及ぼすことがないよう努める
まあ、この辺は普通に飼っている限り守られるはずですが......。
7.飼い主に求められるもの・具体例(第7条、第15条)
- 動物を人に譲る場合は、自力で食べることができるようになってから行うこと。
※特に犬と猫の場合は、生後8週間は親子で飼うようにすること。 - 動物の訓練・しつけを行うこと。
- 動物の数を増やしすぎないこと。
- 動物のふん、毛、羽毛等の汚物で道路や公園、他人の土地を汚さないこと。
- 動物の鳴き声、体臭等で迷惑をかけないこと。
- 動物が逃げた場合はきちんと探して捕まえること
- 動物を捨てないこと。
まあ、かなり噛み砕いて書いてみました。
法律用語って難しく書きますからね。
でも言っていることは、なんだか当たり前のことばかりですね。
ちゃんと責任をもって飼いたいものです。
8.犬の飼い主に求められること(第8条~第11条)
- 飼い犬は常に係留等をしておくこと
- 排泄を事前に済ませておくこと(敷地外に連れ出すとき)
- ふん等は速やかに処理すること(敷地外では)
- 常に監視すること(外では)
- 噛み癖があるなら口輪をかけること(外では)
- 飼育施設又はその周辺に、犬を飼育している旨を表示すること
- 犬が人や他の動物を噛んだ場合は動物管理センターに届け出て、犬を検診させること
【特定犬】について
特定犬とは「人等へ危害を加わえる恐れが高い犬」として札幌市が指定した犬種です。
秋田犬、土佐犬、アメリカン・スタッフォードシャー・テリア(アメリカン・ピット・ブルテリアを含む。)、グレート・デーン、ジャーマン・シェパード・ドッグ、スタッフォードシャー・ブル・テリア、スパニッシュ・マスティフ、セント・バーナード、ドーベルマン、ドゴ・アルヘンティーノ、ナポリタン・マスティフ、ブラジリアン・ガード・ドッグ、ブル・テリア、ブルマスティフ、ボクサー、マスティフ又はロットワイラーに属する犬
▼【参考】特定犬の画像集
特定犬を飼っている場合は、上記に加えてさらに以下3点注意する必要があります。
- おりの中で飼育するなら、頑丈な素材を使うこと。出入り口に鍵をすること。
- おりの中で飼育しないなら、飼い主以外が簡単に近づけないようにすること。
- 特定犬を飼っている旨、表示すること。
9.猫の飼い主に求められること(第12条)
- 飼い猫の疾病の感染の発生を防止すること
- 飼い猫の不慮の事故の発生を防止すること
- 室内で飼育すること(周辺の生活環境を保全するため)
野良猫にエサを与える者に求めること(第13条)
- 周辺の生活環境を保全すること
- 猫が増えないために必要な措置をとること
- 人に迷惑を及ぼすことがないようにすること
10.多頭飼養の届出(第14条)
札幌市内で犬又は猫(生後90日以内のものを除く)を合計で10頭以上飼育する人は、届出が必要です。違反した場合は、以下の通り5万円以下の過料に処せられます。
11.罰則(第30条~第32条)
30万円以下の罰金
- 特定動物の飼い主で措置命令に違反した者
20万円以下の罰金
- 飼い犬の係留等をしなかった者、又は、規定に違反して係留等をした者
- 特定動物による事故の発生を届出なかった者、又は、虚偽の届出をした者
- 措置命令に違反した者
- 市長が求めた報告をしなかったり、嘘の報告をした者や、職員の立入調査や検査を拒んだりした者
5万円以下の罰金
- 犬を飼養施設の敷地外に連れ出す場合に、飼い犬が排せつしたふん等を速やかに処理しなかった者
- 規定に違反し、犬を運動させ、又は移動させる場合において必要な監視指導を怠った者、又は、口輪をかけさせることなどをしなかった者
- 犬(特定犬を含む)を飼養している旨の表示をしなかった者
- 飼い犬が人又は他の動物を咬んだ場合に事故発生を届け出なかった者、又は、虚偽の報告をした者
- 飼い犬が人又は他の動物を咬んだ場合に、飼い犬を獣医師に検診させなかった者
- 特定動物が逸走した場合の報告をしなかった者
- 捕獲した野犬等を逃した者
- 野犬掃討の際に配置した薬物を捨て、移動し、又は埋めた者
5万円以下の過料
- 多頭飼養の届出をしなかった者
まとめ
ペットはかわいいよね!
きちんとルールを守って、最後まで面倒を見よう!