最終更新日:2017/08/30
恐らくこの記事をご覧になっている方の多くは、「株式会社ADS」のチラシを手に入れたかと思います。
「株式会社ADSって、聞いたことのない会社だなぁ」
「ポケットWi-Fiが月額2,980円って安いけど、実際どうなのかな?」
こんな疑問が浮かんできたのではないでしょうか?
この記事ではそんな方に向けてこのチラシの意味を解説していきたいと思います。
タダでもらえる「タブレット」や「ノートパソコン」に釣られてはいけません!
電話する前にもう一度、冷静に考えてください!
ちなみに我が家のポストにもこの「株式会社ADS」のチラシが入っていました。
それも半年間に2回も、です。(1回目:1月→2回目:6月)
結論から言って、これは「ダメなサービス」です。
詐欺とは言いませんが、詐欺まがいの実に「コスパの悪いサービス」なのは間違いないでしょう。
なので、このチラシの内容で契約するのは見送ったほうが良いと思います。
また、アパートやマンションの管理会社と誤解させるチラシのデザイン(書き方)が非常に悪質です。管理会社とは無関係の会社です。
以下、チラシの内容について解説してきます。
株式会社ADSのポケットWI-FIのチラシ
▼先日ポストに入っていた「株式会社ADS」のチラシ(6月12日)
ポケットWi-Fiの料金「月額2,980円」は本当に安いのか?(他社料金と比較)
5,380円(通常)
↓
2,980円(40%オフ)
果たしてこれは「安い」のでしょうか?
それとも「高い」のでしょうか?
「値引き率」や「値引きされた後の値段」だけで判断してはいけません。
なぜなら「相場」が分からないからです。
確実に「安い!」と言えるためには、安さの基準が必要です。
それが「相場」です。
ですから、まずはその「安さの基準」を理解したうえでこのチラシを考えてみましょう。
ポケットWi-Fi*1の月額料金が「安い」か「高い」かを知るには、他社サービスの料金と比較するのが一番です。
こちらがポケットWi-Fiを提供している大手5社のサービス料金です。
(2017年6月20日現在)
どうでしょうか?
これが相場です。
だいたい5,000円を超えると「高い」ということになります。docomoあたりですね。
そして3,000円を切ると「安い」ということになるでしょうか。Y!mobileとかですね。
「じゃあ、やっぱりADSの2,980円は安いのではないか?」
いえ、そう考えるのはまだ早いです。
重要なことが裏側に書かれているので、見逃さないように注意してください。
お手元のチラシを裏返してみましょう。
▼チラシの裏側
少し字が小さいですが「注意事項」を読んでみてください。
冒頭部分に
3年契約のうち12か月目まで適用されるキャンペーンです。
とあります。
これなんです! ここがミソなんです!
実はこの「月額2,980円」というのは、あくまで「キャンペーン」で、1年間限定の料金なのです。
じゃあ、1年を超えるとどうなるのでしょう?
最初に「3年契約」と書いてありますからね、そのあとの2年間は使い続けなければならない。料金はどうなるのか。
13か月目より4,380円(税抜)、25か月目より5,380円(税抜)となります。
つまり、こういうことです。
1年目:2,980円
↓
2年目:4,380円
↓
3年目:5,380円
1年ごとに料金がアップしていく仕組みになっているんです。
そしてお気づきでしょうか? 最終的に「月額5,380円」になっていることに。
そうですね。これは割引前の「通常料金」ですね。
つまり結局、最後の1年間はこの「5,380円」は支払うハメになるんです。
だから、僕がみなさんにお伝えしたいのは、
相場と比べて安い「2,980円」に飛びつくと、知らず知らずのうちに「5,380円」を払わされるカラクリになっているよ。
ということです。
ぜんぜん「安く」ありません。
むしろ相場からして「割高」とも言えます。
次はこのことについてお話ししていきます。
実はこの「2,980円」は「値上げ」された結果
この料金設定、実は値上がりしてます。
記事の最初で、僕がこのチラシを半年前にも一度受け取っていることはすでにお話しした通りです。
前回のチラシにはこのように書かれていました。
料金の部分に注目してみてください。
▼半年前の「株式会社ADS」のチラシ(1月25日)
どこが違うかお分かりですか?
問題は「割引前」です。
しかも前回のチラシの裏面をみて見ると、
しかし、今回は「5,380円」です。
恐らく、これは「割引率」を大きく見せるテクニックだと思います。
「4,380円」のものが「2,980円」になるより、
「5,980円」のものが「2,980円」になるほうがお得な感じがしますからね。
そもそも本当にこの値段で売っていた期間があるのか、僕は信用できないです。
結局、最初の1年間は「2,980円」で変わらなくても、2年目と3年目の月額料金が値上がりしたことで3年間のトータルコストは「9,600円」増えています。
これは実質的な値上げです。
他社のポケットWi-Fiも値上がりしていくのは事実(トータルコストで比べよう)
ポケットWi-Fiの料金が「最初だけ安くて年々上がっていく」というのは、残念ながらよくあることです。
この点について、この「株式会社ADS」だけが悪いとは言えません。
特に「安さ」を売りにしている会社は、どこの会社もやっていることですからね。
だからこそ「契約期間」と「契約期間トータルの料金」が重要です。
ポケットWi-Fiの月額料金が「安い」か「高い」か、を判断するときは必ず「トータルのコスト」を考えるようにしてください。
例えば「GMOとくとくBB」のポケットWi-Fiと「株式会社ADS」のポケットWi-Fiを比べて見ましょう。
「GMOとくとくBB」の7GBプランを3年間使うと、トータルコストは「10万7,868円」です。
同様にギガ放題プランの場合のトータルコストは「13万104円」です。
「株式会社ADS」の場合、3年間のトータルコストは「15万2,880円」となります。
すでに「株式会社ADS」の3年間のトータルコストの方が高いことは明確ですね。
一応、36か月(3年間)で割り算をして、月額の平均に換算してみます。
「GMOとくとくBB」の場合(月平均2,994円~3,614円)
- 月額平均:2,994円(7GB)
- 月額平均:3,614円(無制限)
「株式会社ADS」の場合(月平均4,247円)
- 月額平均:4,247円(無制限)
繰り返しになりますが、「株式会社ADS」の料金はトータルコストでみるとやはり「相場」よりも「割高」と言えます。
どの会社でポケットWi-Fiを使うとしても、必ず「2年しばり」や「3年しばり」など「年単位」の契約が必須となります。
なので、2年や3年使い続けた場合の「トータルコスト」で「安い」&「高い」を判断したほうが、結果的にポケットWi-Fiを安く使うことができます。
管理会社のチラシのようなデザイン(書き方)は、いかがなものか
さて、料金的に不利なことはこれまで書いてきた通りです。
ここからは感情的なお話になります。
料金的な部分に加え、どうしてもこのチラシが受け入れられない理由をお話ししたいと思います。
このチラシについては、やはり多くの人が不審に思ったのか、悪評がTwitter上にも流れています。
実は僕もそれで知ってました、この会社のこと。
このチラシ、実に巧妙かつ腹黒さがにじむ作りになっています。
平たく言うと、すごく「誤解するように」うま~く作ってある。
こういう勘違いさせる気満々なのってズルくないですかね?
この会社のそういういやらしいところがまずもって気に入らないです。
まず冒頭文から極悪だよね。
さも「管理会社」のような丁寧な口調で、極めて下出にでてる。
さらに「先着」とか「いついつまで!」とか、煽る煽る。
「大人気だから電話込み合ってるよ!」みたいな。
「え!? ご存じないのですか!?」的な。
「工事中のキャラ」までいるし。
クッソムカつく。
PCデポ事件って知ってますか?
あれを思い出すんですよね。
「ピーシーデポコーポレーション」って会社があるんですが、客がパソコンとかネット回線について無知であることに付け込んで、特にITに疎い高齢者に対して高額な請求を続けていたんですが、これがみんなにバレたっていう事件です。
ネット上でものすごい批判されました。
しかもPCデポは上場会社でした。事件が起こった2016年8月に株価が暴落する結果となったんですね。信用ガタ落ち。
要するにこの「株式会社ADS」って会社も、PCデポのようにネットリテラシーが比較的低い人向けのビジネスなんですよ。
まあアホな人がそれなりの数ひっかかってくれれば、商売として成り立つってことです。
そういうビジネスでいいのかね? PCデポ事件、知らないのかな。
もちろん、解約料が9,500円ってこととか、3年しばり(2年しばりが一般的)ってこととか、
ちゃんと書いてあるからこれは「詐欺」じゃないけど、いいのかなこんな商売のやり方で。
まとめ
- 株式会社ADSのポケットWi-Fi「月額2,980円」は、実は割高である。(年々月額料金が上がっていくシステム)
- 契約期間のトータルコストで比べると、他社より割高なのがよりハッキリする。
- そもそもこのチラシには、消費者を誤解させるようなデザインや書き方がたくさんあり、株式会社ADSという会社が信用できない。
追記:商標の扱いがグレーゾーンなのでは?
「Pocket WiFi」は「ワイモバイル社」の登録商標です。
チラシの中では「ポケットWi-Fi」と書いているので、「Pocket WiFi」という書き方はしていません。直接的に「ワイモバイル社」のフリをしているとは言い切れないでしょう。
しかし! 消費者に誤解を与えるこういう書き方はいかがなものかと思います。
いくら安いとしてもこういう態度の会社を果たして信用できるでしょうか?
僕は甚だ疑問です。
また、そもそも「株式会社ADS」の公式サイトが見当たらない時点で怪しいでしょう。
連絡先が「電話番号のみ」で「住所」の記載がありません。
この「株式会社ADS」という会社は、ソフトバンク系列(ワイモバイル系)の会社なのでしょうか?
ソフトバンクの公式サイトの中を探しても「株式会社ADS」は見つかりません。
謎です。謎だらけです。
怪しすぎます。
加えて、会社法上の「株式会社」ですらないとしたら、もうそれは会社法違反(会社法第7条)です。
上で解説した通り、たいしたお得でもありません。
そしてこの「一般の人」を勘違いさせるような態度。
誤解させるつもりのチラシのつくり。
ダメでしょ。
契約はやめたほうがいいと思います。
*1:分かりやすさの観点から「モバイルルーター」を「ポケットWi-Fi」と表現しています。予めご了承ください。厳密には「ポケットWi-Fi」は「ワイモバイル社」の登録商標です。