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映画『許されざる者』の感想/人を裁く権利は誰にあるのか

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映画『許されざる者』を観たのでその感想を述べます。

 

 

 

 

映画『許されざる者』の感想とネタバレ

 

 

 

こないだ観た「ダーティハリー」からかなり時代が飛ぶけれど、『許されざる者』を観ました。

 

www.moelogue.com

 

主演はやっぱりクリントイーストウッドです。

 

この映画のキモは、結局人を裁く権利は誰にあるのかを問う点ですよね。で、最後まで誰かが誰かを裁くことは出来ないってことを示しつつ、それでも「許されざる者」として自覚しながら自らの信じる正義をまっとうする。身勝手と言われても、裁き続けるって感じですかね。

 

クリントイーストウッドの演技も、年齢を重ねたことで深みを増していて良かったです。上から目線ですんません。

 

イーストウッド演じるマニーっていう老人が主人公なんですけど、これがなかなかいいキャラしてたわ。設定的には、若い頃は年中酔っ払ってて簡単に人を殺すやべえやつで、喧嘩で人を殺すし、金のために人を殺すし、いわゆるワル。ワルどころか極悪人。人殺し。そんな設定。

 

「人を殺していいのは殺される覚悟があるやつだけだ」を地で行くタイプだね。

 

でも運良く生き延びで、しかも可愛い奥さんに出会ったことで人が変わったって設定。今は真面目に暮らしてるって設定なのね。もうお爺ちゃんよ。今で言うところの初老だけど、あの時代はやっぱり死にぞこないくらいの老人扱いなんじゃないかな。

 

でも、遠くの町でむごい事件があって、その犯人に懸賞金がかけられたっていうんで、もう一度銃を手に取る、とそういう話。

 

いまはカタギとして、真人間として平穏に暮らしてるから銃を取るつもりなんて無かったんだけど、生活が苦しいからやむを得ず立ち上がるってのがポイント。

 

正義感もあるけど、それだけじゃない泥臭さがいいね。養豚?というか、いまは農業に従事しているわけだけど、奥さんは若くしてもう死んでるし、子供2人と自分が暮らすには環境が過酷すぎる。

 

そんなわけでカネは必要だというわけ。

 

こういう「本当は嫌だけど自分にはそれしかできないし、お金にも困ってるし」みたいな、主人公の苦しい事情がにじむ展開とか動機は、なんか『仁義なき戦い』の広能みたいだよね。「過去から逃れることはできない」みたいな。

 

 

広能が子分抱えて、ひっそりと鉄くず守る商売始めるけど、その生活は苦しくて、子分がその辺の野良犬殺して焼き肉してるのを知って、さすがにこれはアカンということで嫌いな親分の仕事を一度は断ったけど、渋々引き受けるあの流れに似てる気がする。

 

こういう主人公好きだなあ。

 

さて、町でむごい事件があったっていうのも、なかなかアメリカっぽい話でポイント高い。いや事件自体は売春の話なんだからアメリカ的も何もないんだけど。

 

売春婦が娼館で客を取ったんだけど、客のポークビッツを笑ったら男に顔切りつけられて、身体も切られて殺されかけるって事件ね。

 

まあポークビッツの件は、そらアカンよって話だけどさ。それでも、だからといって客のほうも売春婦を切りつけたらダメだよね。その時点でアウトですよ。荒くれものでも許されない。だめっすよ。

 

で、そこからが実にアメリカっぽくて、娼婦のみんなが絶対に犯人のことが許せなくて、自分達の稼ぎをみんなでちょっとずつ出し合って懸賞金掛けるんだよね。これが面白い。客を取る度にその懸賞金の話を吹き込んでクチコミで広めてもらって、犯人を非合法に始末しようって企むわけなんだ。

 

「お弁当忘れた人のためにみんなで卵焼きとかタコさんウィンナーとか出し合う展開」に似てる。だいぶこっちのほうが物騒だけど。笑

 

この非合法なたくらみに乗って、クリントイーストウッド演じるマニーらがこの街にやってくるわけですな。

 

なんか、娼婦にも人権があるんだぞみたいな話は、なかなかアメリカっぽくて良かったと思う。胸糞悪い事件でしかないけど、合法的に事を収めようとする保安官の言うこと聞かず、絶対にぶっ殺すという意思で自分の稼ぎを使って犯人に懸賞金掛けるのが面白いストーリーだわ。

 

 

弱い立場の人が必死になって金集めて、自分らより圧倒的に強いやつを雇うって話は、なんか七人の侍を彷彿とさせるなとも思った。

 

 

 

ラストシーンで、主人公のマニーが保安官一派を皆殺しにする場面があるんだけど、あれが実に爽快だった。

 

ぶっちゃけ保安官を演じるのがジーン・ハックマンだからねwww もう絶対悪いやつでしょって思って、偏見の眼差ししか向けてなかったけど、やっぱり悪いやつだった。(映画クリムゾンタイドでジーン・ハックマンは悪役を演じている)

 

 

汚職とかそういう方向の悪さじゃなくて、自分が常に正しいと信じているタイプの悪さ。独裁者気質だねあれは。

 

イングリッシュ・ボブをタコ殴りにするシーンとかも、まあボブ自体がクズな野郎だししゃーないかなとも思えるけどさ。わざわざアメリカの独立記念日にやってきて、イギリス女王をたたえて大統領を侮辱するような発言は、そらあかんわ。

 

でも、ちょっと引くくらいリトルビル保安官が、イングリッシュ・ボブをタコ殴りに、それも丸腰のボブを相手にぼろくそにするから、「あ、こいつももしかしたら悪なんじゃね?」ってなるよね。あの辺で「あ、正義は保安官にもないんだ」ってなる。

 

そういう意味で、保安官がマニーにぶっ殺されのはスカッとしたな。モーガン・フリーマン演じるネッドが保安官にリンチされた挙句殺されて、酒場の前にさらし者にされてるからね。残当よ。

 

ところが、マニーもマニーで皆殺しにするからね保安官一味を。あの場にいた連中はだいたいろくでもないやつらなんだろうけど、それでも、あの怒りのままに皆殺しをする様はスカッとしつつも、恐怖も感じた。イーストウッド怒らせたらアカン。

 

やっぱり許されざる者だったなあと思った。

 

老人でしょぼくれて、銃の腕も落ちてるのかと思ったら、意外とそうでもないんだよね。しょぼくれてた振りをしていたのだろうか。まああまり腕が立つアピールしてても殺されるだけだしね。生き方としては正しいのかも。もうカタギだし。

 

まとめ

 

出てくる人たち、みんな許されざる者だよこの映画。

 

保安官もなかなかの悪党だし。許されざる者。

 

売春婦たちも、被害者なのは間違いないけど違法な犯人捜ししてるし、懸賞金掛けてるし。やっぱり許されざる者。たとえ被害者でも法的に処理すべきなんだろう。

 

マニーでさえ、いまはいいやつかもしれないけど昔は超悪党だったみたいだから、彼の過去を知るものからすると「お前に言われたくないわ」ってなるんだろうね。許されざる者。

 

結局のところ、人を裁く権利が一体誰にあるのかって部分に行きつくと思う。

 

許されざる者としてやっていくしかないんじゃないかなあ。

 

「大量殺戮者である」という自覚をもって、戦争に勝ちまくるヤン・ウェンリーみたいなそんな感じ。ヤンはいっつも勝つくせに嬉しそうじゃないからね。それどころか、またたくさん殺してしまったっていう憂鬱な気持ちだからね。

 

 

戦いは人の心を荒ませるねえ。ぶっちゃけ、リトルビルみたいな信念持ったやつのほうが生きやすいかも。迷いが無いしね。それじゃあ映画にならないか。