Q&Aで分かる「石油ストーブ」と「灯油ストーブ」の違い
Q.「石油ストーブ」と「灯油ストーブ」は同じもの?
A.そうです。同じものです。違いはありません。
Q.「灯油ストーブ」と言ったほうが正しいのでは?
A.その通り。確かに「灯油ストーブ」のほうが正しいです。
Q.なぜ「石油ストーブ」と言うの?
A.石炭ストーブとの違いを強調した名残りです。
「石油ストーブ」と「灯油ストーブ」の違い|詳しい解説
1960年代に日本国内の燃料の主役は「石炭」から「石油」に変わりました。
これを「エネルギー革命」と言います。
具体的には1962年の「石油の輸入自由化」をきっかけに、安い石油が日本にたくさん入ってくるようになりました。
そこから安価で熱効率の良い「石油」がエネルギー・燃料の主役になっていったです。
また、エネルギー革命と同時に海外から安い石炭も入ってくるようになりました。
これで日本国内の石炭はますます生産されなくなり、人々の間でも使われないようになったのです。
このようなエネルギー革命を背景に、民間で使われるストーブの燃料も徐々に「石炭」から「灯油」へと切り替わっていきました。
「ダルマストーブ(石炭ストーブ)」が姿を消していくのはこの頃からです。
「灯油ストーブ」が普及するにあたり、従来から馴染みがあった「石炭」との違いが人々の間で意識されました。
その結果、石炭との違いが特に強調され「石炭ストーブ」に代わる「石油ストーブ」という呼び名が一般的になっていくのです。
それが今でも残っていて、私たちは「石油ストーブ」と呼び続けているのです。
つまりその頃からの「名残り」なんですね。
ただし、みなさんご存知の通り石油ストーブに使う燃料は「灯油」です。
正しくは「灯油ストーブ」と言うべきなのです。
しかし、一般家庭のストーブに使う石油と言えば「灯油」しかないので、普通「石油ストーブ」と言えば「灯油ストーブ」しかないのもまた事実です。
よって、「石油=灯油」と無意識に変換していることになります。
※一部の地域では「軽油ボイラー」が使われているので、これも「石油ストーブ」と言えなくもないですが……。
石油と灯油の違い|灯油は石油の一種である
「石油」と「灯油」の違いについても説明します。
結論から言うと
- 「石油」=天然ガス、ガソリン、灯油、軽油、重油などをすべてまとめた言い方。「石油」は広い意味。
- 「灯油」=石油から抽出される燃料のひとつ。「灯油」は狭い意味。
要するに、灯油は石油の中の一つってことですね。
石油の意味は広いので、クルマに入れるガソリンも石油だし、トラックに使う軽油だって石油です。
油田からドロドロの油を取り出し、不純物をある程度取り除いたものが原油。
その原油から精製する石油製品の一つが石油ってわけです。
そしてその石油にも種類があって、ぜんぶ沸点で分類できます。
沸点が低い順=蒸発しやすい順に並べると次の通り。
- 天然ガス
- ガソリン
- 灯油
- 軽油
- 重油
これらはぜんぶ石油です。
この中でも特に家庭用のストーブに使われているのが「灯油」というわけ。
石炭との違いを強調するために、灯油のことを「石油」としてちょっと「大げさ」な言いかたをしていることになります。
例えるなら、ヒレも肩ロースもバラもトンビもハツもレバーもミノもサガリもタンもハラミも全部「牛肉」って言ってるようなもんです。
たしかに間違ってはいません。
ヒレもタンも「牛肉」です。
しかしそれではあまりに雑。ちょっと意味が広すぎますよね。
これと同じことが「石油」と「灯油」の関係にも言えるのです。
「石油」は広い言いかたなのです。
「石油」と「灯油」の大小関係について、お分かりいただけたでしょうか。
まとめ
- 「石油ストーブ」と「灯油ストーブ」は同じものである。
- 灯油が燃料なのに「石油ストーブ」と言うのは「石炭ストーブ」との違いを強調した昔からの名残り。
- 石油には「天然ガス、ガソリン、灯油、軽油、重油」などたくさんの種類がある。全部まとめて石油と言う。
- 灯油は石油の一種である。したがって「石油ストーブ」という言い方も間違いではない。
- ただし「石油ストーブ」だからといって「ガソリンや軽油(石油の一種)」を使うと火災の原因になるので絶対にやってはいけない。
- 「石油ストーブ」には「灯油」しか使えない。注意してほしい。