国土交通省は、新車について「自動ブレーキ」の搭載義務化を検討しています。
もしかすると近い将来、自動車は「自動ブレーキ」が標準装備になっているかもしれません。
高齢者ドライバーの事故を防ぐ
高齢者ドライバーの事故が社会問題になっています。
近年の報道の通りです。
警察庁の調査によれば、75歳以上のドライバーが起こした交通死亡事故について、一番多かった原因が「操作誤り」だったことが明らかになっています。
「自動ブレーキ」が全ての自動車に搭載されていれば、こうした操作の誤りによる事故はかなり防げたかもしれません。
また「自動ブレーキ」の導入は高齢者ドライバーはもちろん、全てのドライバーのうっかりミスも防止します。
自動ブレーキのしくみ
自動ブレーキのしくみは単純です。
1.車載カメラやレーダーを使用して、クルマの周囲を監視
2.監視の結果、衝突の危険を察知
3.自動でブレーキをかける
車載カメラやレーダーが私たちの目の代わりをしてくれるということです。
私たちが見誤ったり、判断ミスをすると自動ブレーキが作動します。
自動車国内メーカーの中で、1番最初に自動ブレーキを搭載したのは「インスパイア(ホンダ)」です。
「自動ブレーキ」と言えば高級車に搭載されているイメージでしたが、最近だと「ムーヴ(ダイハツ)」や「ワゴンR(スズキ)」などの軽自動車でも、自動ブレーキが搭載されている車種があります。
効果のほどは?
自動ブレーキシステムの「アイサイト」を開発した富士重工業の調査によれば…
2010年から2014年に販売された自動車約29万台のうち、「アイサイトあり」の自動車の人身事故率が「アイサイトなし」の自動車と比べて半分以下だったとの結果が出ています。
また国土交通省が2013年~2015年にトラック約6,100台を調べたところ、自動ブレーキのシステムがあるトラックは、システムがないトラックに比べ追突事故発生率が30%程度だったことが分かっています。
衝突被害軽減ブレーキ装着車の追突事故発生率が1/3![PDF](国土交通省)
いま売られているクルマの半分は自動ブレーキ付き
2015年の自動車生産台数のうち、自動ブレーキ搭載率は「45.4%」でした。
(ちなみに、ペダル踏み間違い時加速抑制装置搭載率は「35.9%」だった)
(国土交通省調べ)
まとめ
「自動ブレーキ」すごーい!
とはいえ、「自動ブレーキ」には統一された規格が現在存在しません。
なのでメーカーによって性能が多少異なっていて、同じ条件下においても結果が変わってしまうんですね。
したがって国土交通省は国際的に通用する規格(性能基準)をつくり、国連とともに具体化していく検討を現在おこなっています。
規格の制定から日本国内の法整備、そして搭載義務化までの道のりは長くなるでしょう。(あと数年はかかると思います)
しかし早く搭載が義務化され、痛ましい事故が少しでも減ることを祈ります。